調整区域、建替えするか分筆するか

現在ご相談いただいている案件です。

市街化調整区域の敷地に、ご自宅と、経営されている会社の社屋が現在建っています。

このご自宅の老朽化に伴って建て替えたいというご希望です。

登記簿では敷地がいくつもの細かい筆に分かれていますが、明確に個人と会社との登記に分かれている訳ではなく、全部で先祖代々の土地ということでした。

建物は いつも一つ

一般的に、「一つの敷地に一つの建物」という原則があり、この案件のように一つの敷地に住宅と社屋が一緒に建っているということはなかなかないと言えます。

昔はそういうこともけっこう「なぁなぁ」でできちゃった、こともあった、・・・、ごにょごにょ・・・、今では適合しないことも、昔はあり得た、こともあった、・・・、ごにょごにょ・・・

今はかなり厳格化されていますので、このままでは住宅部分の建替えもできません。

慎重に、敷地調査

各所で調査を進めると、幸い住宅部分の一番古い部分は線引き前に建築され登記されていました。

また、古い登記簿から、お施主さまの先代からここに住まわれている記録もありました。

「線引き前」というのは、「都市計画法が施行されて、市街化区域か市街化調整区域か決められた時点より前」ということです。

都市計画法が決まるよりも前から住んでるなら建て替えてもいいよという「特例」により、住宅部分は建て替えることができます。

市街化調整区域ではグレー

しかし、比較的新しい社屋の方は、ちょっとグレーです。

いろいろちょっと問題がありそうです。

ただ、登記がされていることと、建物自体は違法性はないことが幸いでした。

先ほど書いたとおり、一つの敷地に建物は一つなので、今回の住宅部分の建替えに際し、住宅部分の敷地と、会社の敷地に分筆することとしました。

しかし、ただ分筆をしただけだと、今後社屋を建て替えたり、増築をしたり、というご希望が出てきたときに「できない」ということになりかねません。

そこが市街化調整区域のこわいところです。

そのまま分筆しただけでは、社屋はグレーのままで、基本的には「あってはならない」建物になってしまいます。

建替え等の建築行為をする段階で、「特例が使えない」と見なされてしまえば、何もできなくなってしまう、可能性が高い、ということです。

関係役所との折衝

そこで関係役所各所とも打合せを重ね、分筆した段階で開発許可等様々な書類を提出し、グレーの社屋を完全に真っ白にすることに成功しました。

これで、今後社屋を増築も建て替えも可能にすることができました。

住宅部分の方はまた別に開発許可を出し、現在建っている住宅を全面的に建て替えることができます。

何の問題もない建物なのに

この事例のように、市街化調整区域では様々な問題が起こります。

住んでいる分には何の問題もない建物なのに、構造的にも仕様的にも何も問題ないのに、法律で「ここは何も建ててはいけない地域」と決められたばかりに、「違法」となってしまいます。

昔から住んでいる人も、新しく土地を買う人も、なにか建築物を建てようとしたときに初めて「できんのか!!」と驚かれることが多いのです。

納得がいかない。本当にごもっともです。

しかし、この案件のように、なんとかなる場合もありますし、特例も用意されています。

どれだけがんばって折衝を重ねても「ダメ」と言われることも実際多いのですが、「OK」と「NG」は本当に案件ごとに分かれますし、法律上の規定はきっちり決まっていますが実際の案件はそれほどきっちり分けられるものではないので、がんばればOKになることも、また多いと感じています。

そんなことでお困りの方も、一度お気軽にご相談くださいね。

※お客様のご了承をいただいて記事を書いております。また、写真や図面等は個人情報となりますので、ご了承をいただいた物のみ掲載させていただいています。

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